日本では「芸術は長く、人生は短し」と訳され、「人生は短く束の間だが、芸術の生命は永遠で
ある」という意味に使われている。
この成句は、帝政ローマ期の哲学者セネカ(後1世紀)の『人生の短さについて』が出典だが、
セネカは古代ギリシャの医聖ヒポクラテス(前5〜4世紀)の言葉から引用している。
ヒポクラテスは、迷信などを排し観察・経験を重視して、初めて医学に科学的基礎を与えた
医師である。
また、「医療は、患者の利益のためだけに施されねばならない」ことを明言した「ヒポクラテス
の誓い」は、時代を超えて「医学の指針」とされ、医療の倫理を規定するこの「誓い」は、
現在も医学生の卒業式に用いられている。
ヒポクラテスに敷衍(ふえん)すれば、アート(ART)の語源である「アルス(ARSラテン語)」を
芸術と訳すのは誤りで、この場合のアルスは紛(まぎ)れもなく「医術」であり、「医術の習得には
長い時間を要すが、一生はあまりにも短い。
それ故に、努めて励まなければならない」がその本意であろう。
この成句を、美術・建築・音楽など芸術(アート)を志す者だけに止(とど)めず、「医療・福祉などに
携わる全ての専門職(施設の設計者などを含む)への箴言(しんげん)」として捉えてこそ!
<21世紀の医療環境>向上に活かされるのではないだろうか。